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今日

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1月にインドから帰国したら、「今日」(福音館書店刊)という本が届いていました。


装丁がユニークな、とってもかわいい本です。

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話は飛びますが、実は2002年頃の私は、某大学院で子ども家庭福祉を学ぶ社会人大学院生でした。


その数年前まで雑誌編集者として、子どもを持つ日本の母親たちがどんな状況にいるのかを見てきたわけですが、これを当事者たちだけの問題にするべきじゃないな~と感じて大学院に入ったのでした。


その大学院で、修論を書くためのフィールドワーク…という名目でニュージーランドに旅し、最近の日本では当たり前となってきた子育て支援とか子ども家庭支援というものがどのように行われているのか知るために施設見学などしたのです。


その途中、ある施設で、私の目は掲示板に貼ってあった一枚の詩に釘付けになりました。


潤む目で慌ててその詩を書き留めながら、近くにいたスタッフに「ここの人が書いたの?」と聞くと「私たちは知らない」という答え。


この詩を、日本の母親たちにも読んでもらいたいと思いました。

国は違っても、同じ思いをしている人たちがいる。

それは、きっと日本の孤独な子育てをしている母親たちを勇気づけるんじゃないか?と、当時の私は思ったのです。


帰国して、自分で翻訳しつつ、途中でよくわからなくなったので、雑誌編集者時代の自分の担当であり、姉のように慕っていたアメリカ在住の詩人の伊藤比呂美さんに訳しかけの詩を送りつけました。


すると翌朝には彼女自身が訳した詩が私の手元に届いていたのでした。


伊藤さん自身、たくさんの育児エッセイを出版し、今の育児漫画や育児エッセイの元祖とも言われる人。

その実感のこもった訳詞は、英語の詩にさらに訴える力を与えていました。

私の知らない誰かが、この詩に出会ってくれることを願いながら一緒に旅した子育て支援者たちに配り、その後出会った子育て支援の施設長さんたちに送り……そのまま忘れていたのです。一昨年までは。


私は全く知らなかったのですが、10年たって、この詩がインターネットで流れ、多くの子育て中の母親たちを勇気づけているそうです。その流れが大きくなって、ついに本になってしまいました。


「関口さんは、この本のお産婆さん」と、福音館書店の編集者・Nさんに言われました。


でも、こんなふうに形にしてもらって、産婆としては嬉し涙。


そこで、改めて、ここに伊藤さんの訳詞を書き写します。

なんだかしみるな~という方は、是非入手して、お手元においたり、または子育て中のお友達にプレゼントしてくださいませ。


後書きには、この本の誕生のいきさつと、私との顛末を伊藤さんが書いてくれています。


伊藤さんが「誤訳」と書いているその部分こそ、自分で書き写してきたものの「??」となって伊藤さんに相談した部分なんですが…。


「関口もわたしに劣らずてきとうな人間で」とか書かれてるし(「あとがき」ですが)。いや、そのとおりなんですけどね。おほほほほ。


2002年頃の私が知ったら、本当に喜ぶだろうな~。
よかったね~~。

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「今日」

(ニュージーランドの子育て支援施設に伝わる詩より)

訳・伊藤比呂美


今日、わたしはお皿を洗わなかった

ベッドはぐちゃぐちゃ

浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた


きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている

窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだと思う


人に見られたら
なんていわれるか

ひどいねえとか、
だらしないとか

今日一日、何をしていたの?とか



わたしは、
この子が眠るまで、
おっぱいをやっていた

わたしは、
この子が泣きやむまで
ずっとだっこしていた

わたしは、この子とかくれんぼした

わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした。

それはきゅうっと鳴った

わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった

わたしは、この子に、
していいことと
悪いことを、教えた


ほんとにいったい一日
何をしていたのかな

たいしたことはしなかったね、
たぶん、それはほんと

でもこう考えれば、
いいんじゃない?

今日一日、
わたしは

済んだ目をした、
髪のふわふわな、
この子のために

すごく大切なことを
していたんだって

そしてもし、
そっちのほうがほんとなら、

わたしはちゃーんとやったわけだ

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この本にはオマケとして「虹の橋」も訳されています。

猫と共に暮らす身としては、今はこれもかなり身にしみるのでした…。
by athaneia | 2013-06-16 00:32 | 日々の暮らし

今を生きる。もっと喜びの中に。もっと愛の中に。もっと自由の中に。希望と笑顔があふれだす今を。


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